「迷惑がかかるので、もう関わらない」「どんな刑でも受け入れる」。アイドルグループ「欅坂(けやきざか)46」の握手会会場で発炎筒をたくなどして威力業務妨害罪などに問われた札幌市白石区の無職、阿部凌平被告(25)の初公判。阿部被告は被告人質問で反省の態度を示したが、検察側の冒頭陳述などからは、独善的で身勝手な犯行動機が浮かび上がった。
この日、丸刈りに黒ぶち眼鏡をかけ、白いシャツと黒っぽいスラックス姿で入廷した阿部被告。裁判官からの質問などには前を見てはっきりと答えたが、証人尋問に立った父親に対しては、うつむく場面もみられた。
事件については「未来ある女性の心を傷つけ、ファンにも運営会社にも迷惑をかけた」と改めて陳謝。成田空港までは飛行機で来たが、成田空港から会場となる千葉市の幕張メッセへは歩いて移動。握手会にも初参加だったなど、犯行に至る経緯も明らかになった。
一度は犯行をやめようと思い詰めたが、「せっかく千葉まで来たのだから」という考えから及んだとも説明。発炎筒やナイフが入ったバッグを会場に持ち込んだ手口は、会場外の入り口付近に置いていたら、忘れ物としてスタッフに回収されており、受けとるため、中に入れたとして「偶然だった」と語った。
グループのファンだったが「自分がファンを名乗ると迷惑がかかる。もう関わらない」と宣言。「どんな刑でも受け入れる」と最後にもう一度陳謝した阿部被告。短絡的な犯行の代償は大きなものだった。判決は10月2日に言い渡される。