元櫻坂の菅井友香さん TAKAHIROさんから教わった「誇り」

川村貴大
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 「不協和音」「流れ弾」などの社会風刺を込めた楽曲と激しいダンスで世間を驚かせてきたアイドルグループ欅坂(けやきざか)46・櫻坂(さくらざか)46を、キャプテンとして牽引(けんいん)した菅井友香さん。昨年11月に卒業した彼女には、今も心の糧にしている「師匠」からの言葉がある。

 2017年、キャプテンに任命されて初めて迎えた夏のことだった。「メンバーもまだ若くてなかなかまとまらず、多忙でメンタルを保つことが難しいなかで、キャプテンとしても、1人のメンバーとしても行き詰まっていた時期でした」。顔色が曇っているのを見かねた振付師のTAKAHIROさんに「菅井、どうした?」と声をかけられた。「自信が持てないんです」と打ち明けると、こんな言葉が返ってきた。

 「自信は、人前で話すときみたいに必要なときだけ、持っているように演じればよくて、そんなに無理をして持たなくてもいい。それよりも、自分が目標に向かって努力していることに対する誇りをしっかりと持っていればいいんだよ」

 この言葉を聞いて、人一倍練習して努力することの大切さを胸に刻んだ。「一つひとつのライブやダンスにかける時間が増え、気づいたら、当時のうじうじしていた自分から変わることができました」。その姿勢は、TAKAHIROさんから「鬼の練習屋さん」と評される。「これからも、できることを全力でやる姿勢はなくさずにいたいと思います」

 卒業後の初主演舞台「新・幕末純情伝」(つかこうへい作)では、新撰組沖田総司を演じる。「卒業後の一つ目の大きなチャンス。この作品をしっかりお届けすることで何か道が開けたらと思いますし、グループ活動で身についた度胸や辛抱強さが生かせたらいいなと思います」

 欅坂46時代に主演した舞台「飛龍伝2020」に続いて演出を務める岡村俊一さんからは、演技の正解を自分で決めてしまうことなく、演出意図に沿って縦横無尽に感情を表現できる素直さについて「真っ白ではなく透明。そんな子は今、なかなかいない」と太鼓判を押された。「『自分には何もない』と思ってやってきたので、それを『透明』と言って評価していただいてうれしいです。何でも吸収して学ぶ姿勢を大事にしていきたいです」川村貴大

 ◇「新・幕末純情伝」は、「沖田総司が女性だったら」という設定で幕末の動乱や恋模様を描く。1月28日~2月12日に東京・紀伊國屋ホール、2月17~19日に神戸・AiiA 2.5 Theater Kobeで上演。

すがい・ゆうか

 1995年生まれ。2015年、欅坂46(20年に櫻坂46に改名)に加入。16年に「サイレントマジョリティー」でデビュー。昨年11月の東京ドーム公演をもって卒業。出演作にミュージカル「カーテンズ」など。

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