欅坂46の無観客配信ライブ「THE LAST LIVE」の初日公演が12日に開催。13日に結成から5年の歴史に幕を下ろし、新たに“櫻坂46”としての再出発を控えるグループはMCなしのノンストップで全17曲を披露。

まさに“欅坂46の世界観”を存分に感じさせるパフォーマンスをメンバー全27人で見せた。

【写真】菅井友香が「僕は嫌だ」 欅坂46「THE LAST LIVE」ライブフォト集

 この日の公演は、昨年9月に行われたグループ史上最大規模の東京ドーム公演から約10ヵ月ぶりに行われた、7月16日の無観客配信ライブ「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU!」で改名を発表して以来のステージだった。

 公式サイトで事前に「グループの“静”と“動”の両面が存分に感じられるように」とテーマが伝えられていた2日間にわたる公演の初日。

 本編がスタートする前には、デビュー曲「サイレントマジョリティー」や「不協和音」などのインストゥルメンタルがリリース順に流されると共に、これまでのライブの様子や舞台裏を写した、彼女たちの軌跡をたどるスライドショーがモニター越しに流れる。

 定刻の18時30分を少し過ぎた頃、開演前のスライドから会場の映像へ切り替わると、メンバーたちが、ツルの巻かれた格子状の扉を前にたたずんでいた。

 やがて、暗闇でたたずむメンバーへ向かい、スポットライトが順番に点灯していくと扉が開き、列になったメンバーたちはメインステージへと歩みを進めていく。
モニター越しに彼女たちの姿に重なったのは、これまでの軌跡を思い起こさせるようなメッセージのテロップだった。

 「アイドルに憧れて、自分を変えたくて、この坂を上り始めた」「キラキラした世界を夢見て、全力で走った」「時には笑顔でいられないほど、がむしゃらに走っていた」「喜びも、苦しみも、悲しみも、怒りもあった」「振り返り、立ち止まる自分を何度も恥じた」「前だけを向ければ 楽だったかもしれない」

 メンバーがメインステージへと到着し、スクリーンに映っていたロゴがピンク色から欅坂46のキーカラーである緑へ切り替わると、「だけど、どんな時もここにいる誇りがあった」「私は、私たちは欅坂46なのだと」「そう、全てはここから始まった」という文字と入れ替わるように「since 2015」の文字が重なり、開演を告げる「Overture」が流れ始めた。

 そのメロディとともに新二期生、二期生、一期生のメンバーが紹介されたのちに始まった1曲目は、グループの始まりであったデビューシングルの「サイレントマジョリティー」。左から、渡辺梨加、藤吉夏鈴、小林由依、森田ひかる、山崎天がフロントメンバーを務め、早くも全力でパフォーマンスを披露する。

 場内の照明が紅へと切り替わり、スモークの炊かれた客席で続いて歌い上げた「大人は信じてくれない」では、メンバー最年少の山崎天がセンターとして堂々としたパフォーマンスを見せた。

 いったん暗転したメインステージのスクリーンに写ったのは、今とは違いロングヘアーだった当時の土生瑞穗の加入当初の映像。
その下でりりしく立っていた土生がやがてステージ前方の階段を降りて、客席で待つメンバーと合流して始まったのは「エキセントリック」。幻想的なインストゥルメンタルのBGMを挟み、客席の別の場所に設置されたステージで「語るなら未来を…」を披露した。

 そして、次にスクリーンに映ったのは渡邉理佐の回想。緊張からか声を震わせながら自己紹介をする加入当初の映像をバックに、ステージ中央へピアノアレンジされた「避雷針」のインストゥルメンタルBGMをバックに立つ渡邉が歩き始め、ステージのスクリーン下に設けられた空間で待つメンバーたちの元へ合流したのちに「月曜日の朝、スカートを切られた」を披露。

 続く「Student Dance」では、曲中のダンスパートで小林由依、齋藤冬優花、森田ひかるら5人のメンバーが水柱が何度も吹き出すステージで激しく躍動していた。

 その後、過去のVTRが流れたのは上村莉菜
加入当時に「憧れの乃木坂46さんのように、誰かの元気や勇気を与えられる存在になりたい」と表明していた上村は、真っ直ぐに誰もいない客席を見つめながら、過去に悩みを吐露していた映像に対してわずかに首を横に振る。

 やがて合流した井上梨名、武元唯衣、森田ひかる、原田葵、藤吉夏鈴と共に披露したのは、最初にして最後のベストアルバム「永遠より長い一瞬~あの頃、確かに存在した私たち~」に収録されたユニット曲の「カレイドスコープ」。その後、カメラの映像は小林に移り、客席の真ん中に置かれた橋を模したステージ上でただ一人、かつての盟友である卒業メンバー・今泉佑唯とのユニット“ゆいちゃんず”で歌っていた「渋谷川」を笑顔を浮かべ続けながら披露した。@@separator 続いて始まったのは齋藤冬優花の回想。メインステージ下に設けられた空間でただ一人、左右や天井に映し出された加入当初の映像と共に立ちすくむ彼女が過去に発言した「好きなんだと思います、単純に。メンバーとかグループが。
すごい奇跡だと思います」というコメントと共に背後から来たメンバーと合流し「I’m out」を披露。クールな曲調のダンスナンバー「Nobody」へと続いた。

 そこからみたび回想VTRが流れ、次に歴史を振り返ったのは、この「THE LAST LIVE」でグループ卒業を発表している佐藤詩織。スクリーンをバックに立ちながらうっすらと涙を流していたかのように見えた彼女の元へメンバーが集まり、披露したのは「東京タワーはどこから見える?」。ライブの定番曲の1つである「避雷針」ではステージ前方に火柱が吹き上げていた。

 その後、暗転して客席が見えなくなった場内を青いレーザービームの光がしばらく貫いていたのち、爆発音と共にスタートしたのはグループを象徴する「不協和音」。
キャプテン・菅井友香をセンターに据えたグループは、シングルリリース当時と同様の衣装を着てパフォーマンスを披露し、曲中では菅井、田村保乃が「僕は嫌だ!」と地面を震わせるかのように叫んだ。

 メンバーの回想は続き、次にVTRが流れたのは渡辺梨加。加入当時に自分たちのあいさつをひたむきに練習する彼女の姿も写り、そこから披露したのはしっとりとした「キミガイナイ」。客席に置かれたさまざまなセットへ散らばったメンバーたちによる「君をもう探さない」へと続き、幻想的な1曲「もう森へ帰ろうか?」では、曲の終盤で上村がワイヤーで釣られながらフワフワと浮かび上がる演出で見せた。

 そして、公演も残るはラスト1曲に。この日最後に歴史を振り返ったのは小林で、公演中に披露した「渋谷川」のインストゥルメンタルを受けながら誰もいない客席の中央でたたずむ彼女の元に、メンバーたちが四方から合流して寄り添う。


 グループのラストを翌日に控える中で最後に披露したのは「黒い羊」。彼岸花を手にしてセンターを務めた小林が、曲中のフレーズ「全部 僕のせいだ」で声を震わせながら詰まらせる一幕もあったが、メンバーたちはこん身のパフォーマンスを披露。最後、メインステージへただ一人残った小林の右手に、渡邉が左手を差し伸べて引っ張り、全員がステージを跡にした。